スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 スポンサー広告 ∧top | under∨
ナニワ金融道
2007-12-03 Mon 02:52
ナニワ金融道 (1) (講談社漫画文庫) ナニワ金融道


金貸しとは、基本的には、顧客に現金を貸したときの利息で利益を上げていくものだ。しかし、簡単そうに見えるこの工程の裏には、予想以上に深いノウハウが詰まっている。高利である街金に足を運ぶ連中は、たいてい金策につきている。したがってそういった連中に融資する際は、元金の回収の可能性(固定資産だったり、親戚の財産だったり)を先回りして調査する。金貸しの理想とは、多額の金を貸し付け、かつ、顧客から元金と利息をもれなく回収することである。

『ナニワ金融道』に登場する帝国金融は、法律スレスレのところで、元金の回収を実行する。この場合、法律の知識も必要だが、いかに人を扇動するかという、人心掌握の技術が重要となってくる。街金もビジネスの一種であるとしたら、ビジネスは論理だけではうまくゆかないということを、象徴的に示唆しているように感じた。こういった金融業の細かなノウハウとともに描かれた、世の中のグレーゾーンは、なんとも興味深い。

naniwa_03_001.gif

 まるで落書きのような絵柄は、人によっては抵抗があるかもしれないが、よくよく見るとこれがまた味わい深い。この単純な絵柄に反するかのように、作品世界は実にリアルで、全編を通して鋭い人間描写が冴え渡っている。
 本作の一つのおもしろさは、徐々に没落していく人間の様子である。いかにも怪しい人間に騙され、資産を奪い取られる顧客の姿は、あまりに悲惨で直視できないが、その顛末まで見届けたくなるのが人情。人間の不幸を描き、おもしろさを生み出す。意外にこのタイプのストーリー展開を採用しているクリエイターは少ない。最近の漫画だと、『闇金ウシジマくん』が、これを推し進めた数少ない例だろう。個人的な見解だが、この部分を研究すると、まだまだストーリ展開のバリエーションが広がりそうである。

 本書では、金融のしくみを説明しつつ、各登場人物の人間性を描き、かつ読者を引き込むストーリーを展開させている。この脅威の構成力を持ち合わせている青木は漫画家としてのデビューが45歳と、遅咲きであった。『ナニワ金融道』連載終了後は、漫画家を引退。少産の作家であるのが、惜しまれるところだが、作風は『カバチタレ』などにしっかりと受け継がれている。
 引退後しばらくエッセイなどを連載していた青木は、2003年9月に肺ガンで亡くなった。


スポンサーサイト
別窓 漫画 コメント:0 トラックバック:0 ∧top | under∨
神の左手悪魔の右手
2007-06-02 Sat 02:53
神の左手悪魔の右手 1 (1) 神の左手悪魔の右手
楳図 かずお




楳図かずおはお気に入りの漫画家の一人。

『おろち』から入ったが、その魅力に引き込まれ、『漂流教室』、

『わたしは真吾』、『14歳』と彼の作品群にどんどんはまりこんで

いった。

登場人物の説明口調がたまに笑えるが、一度読み始めたら、その

ぶっとんだストーリー展開から目が離せなくなる。

眉をひそめてしまうほど、残酷で凶悪なシーンがたびたび登場するが、

人間の凶暴さを包み隠さず描いた作家の一人として評価すべきでは、

ないか。

ところで本作は、少年「想」のまわりで起こる奇妙な事件を、スプラッ

タ映画タッチで描く。

映画では、一つのジャンルとして確立された「スプラッタ」であるが、

漫画の分野でもたまに見かける。

最近では、奥浩哉の『GANTZ』なんかがそうだと思う。

ちなみにかく言う私も、少し前までスプラッタ映画にはまっていた。

肉がちぎれ、血が吹き出る様子に、きっと開放感のようなものを、

見出していたのだろう。

本作でも、これでもかというほど、人間が残酷な死に方をする。

死に様を描くことに、大きくページを割いているのは、やはり作者

がこれを描きたかったからで、本作の魅力もそこにある。

残酷なシーンの全てが恐怖につながっているわけではないが、不穏な

世界観の構築には、寄与できている。

ラストシーンに近づくにつれ、若干かけあしなのが残念。



別窓 漫画 コメント:3 トラックバック:1 ∧top | under∨
櫻の園
2007-04-09 Mon 01:36
14_page1_01.jpg



中原俊監督によって映画化もされた吉田秋生による青春群像。

2008年には、同じ監督・脚本のコンビで、リメイクが決定している。

ノスタルジックで繊細な彼女の作品の世界は、僕のような男性読者に

とっても、癒しになりうる。

目線が男性とは違うためか、女性の描いた作品を読むと、はっとさせら

れることが多い。

一見、なんでもない平凡な生活の中でも、少女たちは大きく悩み、

それを一つ一つ乗り越えていく。

僕らが何も考えずに、TVゲームなんかに夢中になっている間に、女の子

たちは色々悩みながら成長しているんだね。


ところで『BANANAFISH』では、男性作家に負けないくらいのハード

ボイルドな世界を描いていたが、同時にこれほど繊細で落ち着いた作品

が描けるのが吉田秋生の強みの一つだろう。女性作家ならではの性質

もちゃんと持ち合わせている。

『BANANAFISH』が読み継がれるのは、無骨なアッシュが、ときどき意外

にも繊細な一面を垣間見せるからに違いない。

本作もまた、長く読み継がれることだろう。

桜は、大人の女性への成長をあらわすメタファーか。


別窓 漫画 コメント:0 トラックバック:0 ∧top | under∨
猫楠
2007-02-19 Mon 22:05
book_img02.jpg




偉人「南方熊楠」の生涯を描いた水木しげるの長編漫画。

和歌山で生まれたなら、一度は耳にする名前である。

僕自身、小さい頃から彼のエピソードを聞かされて育った。

当時、貧乏だった彼は、百科事典がのどから手が出るほど

欲しかったのだが、とても手が届かず、本屋に通い詰めていた。

彼は、家と本屋との往復を繰り返し、立ち読みして覚えた

百科事典の内容を少しずつ家で書写していた。

どれほどの時間を費やしたかは分からないが、

ついには、全ての内容を書き写し終えたのだという。(祖母談)

事実、彼は19ヶ国の言語を操るほどの頭脳の持ち主で、

英国留学中には、研究成果がネイチャーで紹介される。

しかし、その明晰な頭脳とは裏腹に、破天荒な性格で

奇行が多かったことでも知られる。

漫画は、熊楠の浮世離れした生活をユーモアを交えて活写する。

留学先のイギリスでは、ありえない格好で街を徘徊し、

食べるものにも困るほどの極貧生活にもかかわらず、

何のためらいもなく客を泊めたりする。

こんなスケールの大きな日本人がいたんだなと、同じ日本人で

あることを誇りにさえ感じてしまった。

ところで、江川達也の「日露戦争物語」にも南方熊楠が出てくるが、

やはり水木しげるの描く熊楠のほうがおもしろい。


別窓 漫画 コメント:0 トラックバック:0 ∧top | under∨
アドルフに告ぐ
2007-02-17 Sat 00:42
アドルフに告ぐ (1)





「ヒトラーが実はユダヤ人だった!」

物語は、この秘密によって翻弄される人間達の運命を描く。

ちなみに僕自身も、翻弄されてしまった一人である。

漫画を読み始めてすぐ、慌ててインターネットで「ヒトラー」を検索。

ウィキペディアによると、ヒトラーのユダヤ人説はすでに

否定されているとのこと。

なんだか肩透かし食わされたみたいだったが、それはおいといて、

同作のサスペンスの巧妙さは、さすがといわざるを得ない。

秘密文書をなんとしても隠蔽しようとするゲシュタポ、

文書を公開し弟の無念を晴らそうとする峠草平、

隠蔽した文書が治安維持法に引っかかるとして

追いかける特高。様々な人間の思惑が交錯し、

意外な方向へ物語は進んでいく。

また物語終盤、民族紛争に対する著者の疑問が前面に出、

これまでのいざこざが伏線となっていたことに気づく。

単なるサスペンスとして終わらせないところが、

手塚治虫のすごさだろう。

これをきっかけに、さらに手塚作品を読みたくなった。

次は『火の鳥』だ。


別窓 漫画 コメント:0 トラックバック:1 ∧top | under∨
 機械材料加工学Ⅱ 

最近の記事

プロフィール

kkaazz2000

Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。