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世界の半分が飢えるのはなぜ?
2013-01-06 Sun 01:57
世界の半分が飢えるのはなぜ?―ジグレール教授がわが子に語る飢餓の真実世界の半分が飢えるのはなぜ?―ジグレール教授がわが子に語る飢餓の真実
(2003/08)
ジャン ジグレール、Jean Ziegler 他

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 何年か前に松本仁一氏の『カラシニコフ』を読んで、アフリカの国々について興味を持つようになりました。未熟な国家を抱えるアフリカでは、日本とはレベルが異なる課題が山積みです。本書は、そんな課題のひとつである飢餓の原因について、ジュネーブ大学のジャン・ジグレール教授が解説したものです。
 ジグレール教授が、我が子とQ&Aのスタイルで語り合うわかりやすい構成となっています。中高生が対象かと思いますが、読んでみると大人も勉強になる含蓄の深さでした。

 本書によると、世界中で「深刻な飢餓状態」にある人は、3000万人。その他、「慢性的な栄養不良とみられる人が8億2800万人いるそうです。(1999年 国連食糧農業機関)
 このような飢えの原因として、本書では、自然災害、政治腐敗、市場価格操作、内戦などなどを指摘しています。本書を読んで、特に、政治腐敗、市場価格操作について初めて知りました。

 政治腐敗の一例として、セネガルのモノカルチャーを紹介しています。モノカルチャーとは、ある国の、主要生産物がたったひとつの産物に偏っていることで、セネガルではピーナッツにあたります。セネガルのモノカルチャーは、かつてフランスの植民地だったころの負の遺産です。セネガル政府は、ピーナッツの輸出で得た収入の一部で、他国から米を大量に買い付けているそうです。このとき、セネガル政府は、輸出価格に対し不当に低い価格で、農民からピーナッツを買い上げていて、その差額を役人が吸い上げ、豪奢な生活の糧にしているそうです。

 また、市場価格操作と飢餓との関係ついて衝撃的な事実を解説しています。世界中に食糧を公平に分配する国際機関である国連食糧計画(WFP)は、援助国からの援助金を拠出し、被援助国の主食となる食物を買い付け援助食糧としています。WFPが、限られた援助金を使って食物を買い付けるにあたっては、市場価格が非常に重要となってきます。ところが、国際的な穀物の市場価格は、「穀物メジャー」と呼ばれる数社の商社によって、「ダンピング」や「在庫隠し」といった投機的な手段で決定されます。

 「世界の穀物市場、シカゴの冷徹な支配者たちは、穀物不足に悩まされるチャドやエチオピアのことなんて気にしない。(中略)かれらには手が出ないような高値で穀物が取引きされているということなどには、とんと関心がない。ただ毎週、数百万ドルの利益をあげることだけに心を傾けている。」(p65)

 ジグレール教授は、これら食糧問題を解決するにあたり、「市場原理主義」が本当に正しいのか懐疑の念を抱いています。

 「市場原理主義がいう『見えざる手』、つまり自由な世界市場に任せていれば、ほんとうに公平な社会が実現されるのだろうか?(中略)しかしもっと問題なのは、その主張が詳しく検討されないままに世界に浸透していっていることだ。なにが人間にとってほんとうに必要なものであるのか、なにが社会にとってほんとうに必要であるのかは問われぬまま、『経済合理性』という標語だけがひとり歩きしはじめている。」(p163)

 本書を読んでいると、日々の考え方が内向きであることに気付かされます。投資で財産を増やすのも生活の知恵かと思いますが、世界全体のバランスを忘れずに行動したいものです。特に、アフリカの食糧事情のような致命的な政治課題について、もっと日本でも議論が活発になってほしいと願うばかりです。アフリカの悲惨な現状を記述した書籍はすでに何冊も刊行されています。そのなかでも、その悲惨さの背後にある原因について深く言及した本書は、特に貴重だと思いました。
 
 最後に、「キューバ革命」にあこがれていたジグレール教授が、学生時代にチェ・ゲバラに出会ったエピソードが印象的でした。

 「1968年、スイスのジュネーブで国連貿易開発会議(UNCTAD)がひらかれ、キューバ革命にはせ参じたアルゼンチン生まれのチェ・ゲバラが、キューバ経済大臣として会議に出席しました。当時まだ学生だったジグレールさんはチェの泊まっているホテルのロビーでかれと会います。
 開口一番ジグレールさんは、『キューバ革命に参加するため、僕をキューバにいけるようにしてください』と頼み込みます。するとチェはかれの手をひいて、レマン湖を見下ろすバルコニーまで連れていき、対岸に輝く世界的に有名な製薬会社バイエル社や食品会社のネスレ社のネオンサインをさしてこういいます。
 『君はスイスに残って、この怪物と戦うのだ』」(p178)


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カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 世界経済編
2012-12-26 Wed 15:13
カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 世界経済編カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 世界経済編
(2003/01)
細野 真宏

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 2003年に発行された本書では、残念ながら、近年発生した「サブプライム問題」、「リーマンショック」などの内容はとりあげられておりません。しかし、過去に起きた通貨危機を題材に、為替の普遍的なメカニズムを解説しているため、今読んでも古さを感じませんでした。というよりは、僕自身、本書で説明されている通貨危機などの出来事について、全く知りませんでしたので、十二分に勉強になりました。 
 
 まずは、1992年のポンド危機について、イギリスがユーロ導入に向けて、EMS(欧州通貨制度)に参加したときの背景から、わかりやすく説明しています。EMSとは、各国の通貨をユーロという一つの通貨にまとめる準備として、ドイツのマルクを基軸通貨として、ポンドの固定相場を維持することです。当時イギリスは、インフレに苦しんでいましたが、景気が悪いため、金利を上げることが困難でした。そこで、EMSの条件にポンド高として相場を固定すると、海外からの安い輸入品のために、イギリス国内の物価が下がる方向に向かうと考えたそうです。

 途中の説明をざっくりとばすと、こんななか、投資家のジョージ・ソロス率いるヘッジファンドは、当時景気の悪かったイギリスが、今後ポンドを固定相場として維持していくのは無理だろうと考え、大量にポンドの「空売り」を仕掛けました。これによって、イギリスのポンドは大暴落し、ヘッジファンドは約10億ドル儲けたといわれているそうです。
 結局、イギリスは、EMSを脱退し、ユーロの導入を諦めました。これは、イギリスが、いまだにユーロを導入していない理由のひとつとなっています。本書の巻末の方では、このような投機の攻撃に備える方法として、やはり経済規模の大きい「ユーロ」を導入することが効果的であることを指摘しております。
 
 本書では、「ポンド危機」のあと、「アジア通貨危機」、「ロシア危機」などを題材とし、為替の動きを解説することで、より為替の理解を深められる構成となっています。「アジア通貨危機」の章では、現在でも問題となっている中国の「人民元切り上げ」につながる話題がでてきます。「ロシア危機」では、ヘッジファンドLTCMの破綻危機を未然に防ぎ、FRBの大胆な金利政策により、世界経済が「過去半世紀で最悪の危機」を乗り越える様子が解説されています。
 今更ではありますが、世の中には、学校では教えてくれない重要な事柄が、本当にたくさんあるのだと考えさせられました。知らない間に、世界は大きく動いているんですね。もう少し、経済について勉強してみようかな。


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TPPが日本を壊す
2012-12-11 Tue 23:19
 
TPPが日本を壊す (扶桑社新書)TPPが日本を壊す (扶桑社新書)
(2011/03/01)
廣宮 孝信

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 衆院選が16日に迫っております。争点のひとつ「TPP」がどういうものか理解したくて、結構売れている本書を読んでみました。
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の締結によって、輸入農産物等の関税撤廃で、農業者が困るというのは、なんとなく聞いたことがありました。ところが、本書を読んで、問題が関税の撤廃のみにあるわけではないことがよくわかりました。本書では、TPPの締結において、以下の点でデメリットが生じることを指摘しています。

①地域経済
②地方自治体
③農業
④雇用

 いずれも重要な点ですが、特に私は①のような問題があることを全く知りませんでした。地域経済への打撃の懸念は、TPPの条文「11章 政府調達」における取り決め内容によります。

    「11章 政府調達」とは、政府による物品やサービスの購入、施設の建設などを指します。これには公共事業を含む政府の支出の多くが該当します(p33)

 これは、市区町村レベルの自治体が、海外にも門戸を開き、競争入札で調達を行うことを約束するというものです。(日本はすでに「WTO政府調達協定」を取り交わしていて、都道府県レベル自治体の調達に関しては海外に門戸を開いているそうです。)
 これにより、建設業などの公共事業のみならず、学校給食の入札のような小さい案件に関しても海外の企業に開放されることになります。地方の中小企業にとっては、経済活動を行うにあたって、危機的な状況が発生することになります。

 このような問題が発生するのは、TPPがFTAなどの貿易協定とは違って、「知的財産」、「戦略的連携」といった、直接、貿易に関係しない内容を含み、また自由化の項目については例外を認めないためです。

   これまでのFTA交渉では農業分野で日本側がいくつかの例外を設け、その例外を自由化の項目から除外することで締結してきました。(p31)

私は、地方出身者なので、現在の地方の疲弊具合を身にしみて実感しております。本書を読んだ限りでは、以上のようなリスクを抱えたままTPPを締結するのは、時期尚早かと思いました。ただ、まだまだ理解が浅いので、もう少し勉強してから、投票に向かいたいと思います。
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高校数学でわかるシュレーディンガー方程式
2011-11-21 Mon 00:47
高校数学でわかるシュレディンガー方程式 (ブルーバックス)

出版社 講談社(2005/3/17)
著者 竹内 淳


ブルーバックスにはまっています。
 大学教養課程にて理解を放棄していた学問たちを、毎朝電車の中で学び直しております。
その中でも、『高校数学でわかるシリーズ』(竹内淳 著)が、難しすぎず、簡単すぎずで理系にとってはちょうどいいレベルです。

大半の人にとって量子力学は、必要のない学問かと思います。僕も仕事の関係で、ぎりぎり触れるかどうかというところで、別に知らなかったとしても何の支障もでないというくらいのものです。
高校までで勉強する物理だと、原子核と電子を、天体のようなモデルで近似して(月が地球のまわりを公転するように)、エネルギーを求めます。その際に、「電子には、粒子と波動の両方の性質を合わせ持つ」という前提条件を受け入れることにより、電子エネルギーがとびとびの値をとることを説明することができます。
 上記のようにマクロに近似したモデルでも、電子がとりうるエネルギーをある程度説明できますが、本書では、シュレーディンガー方程式を使って、水素原子を対象として、さらに厳密に電子の振る舞い方を計算する方法を説明してくれます。
 最後まで通読しての印象ですが、たしかに高校数学でぎりぎりついていけるような平易な説明となっています。電子の波動性を前提条件とする以外は、ほぼ古典的な物理法則に則って方程式を立てるだけで(方程式自体は複雑だけど)、電子の振る舞いを表現できることに感心させられました。
 本書では水素原子を対象としていましたが、分子や結合に適用した際にどうなるのかということに関心を持ちました。これは量子化学という学問領域に含まれるそうですが、物理も化学も突き詰めれば、同じ方程式で記述されるというのがとても興味深いです。
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ぼくたちの洗脳社会
2007-11-02 Fri 22:53
ぼくたちの洗脳社会ぼくたちの洗脳社会

岡田 斗司夫



 BSマンガ夜話でおなじみ(?)の岡田斗司夫による現代社会論。
氏の唱える「洗脳社会」は、A・トフラーの『第三の波』(1980年)と堺屋太一の『知価革命』(1985年)に触発されて思いついた概念である。
 『第三の波』では、人類の歴史を変えた大きな変革を波にたとえている。第一の波は、農業革命。第二の波は、産業革命。そして、第三の波が、情報革命である。トフラーは、情報革命により、農業革命や産業革命に匹敵するような大きな社会変革がおとずれると主張する。
 これに対し、堺屋は『知価革命』の中で、次のようにトフラーを批判している。

 「『第三の波』のすべてが変化する、という前提は社会構成員の価値観が変化する、ということである。その変化する価値観を具体的に述べない予測は不十分だ」(p28)

 トフラーは、価値観や社会システムがそのままで、情報に関わる技術のみ革新されるという未来を予測していたのだ。
 岡田は『知価革命』における次の一節をヒントにして、「洗脳社会」なる未来像を予測する。

 「豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しいと感じる、人間のやさしい情知」(p28)

これまでの自由経済社会では、「モノ余り」であったために、たくさんモノを消費することが是とされてきた。しかし、第三の波を経て「情報余り」の時代に突入すると、情報の大量消費を是とする価値観がおとずれると予測できる。情報の源はマスメディアが中心であるが、岡田は、そのどれもが偏った考えを植えつける洗脳装置であると言い切る。

 「マルチメディアの発達によって、歴史上初めてすべての人々が被洗脳者から洗脳者になるチャンスを与えられるようになる。それによって自由洗脳競争が始まる。」(p163)

 刊行から10年以上が経過しているため、現在ではほぼ死語になりつつある「マルチメディア」という単語を使用しているが、「ウェブ2.0」と置き換えられそうだ。人々は、洗脳により一人の人間の中に多くの価値観を有するようになり、また多くの価値観を併せ持つことがステータスとなる。経済的な豊かさが必ずしも幸せにつながるわけではない、との考えは今や多くの人が抱いている実感であろう。
 幸せの定説が崩壊した現在では、人々は幸せのありかを探ろうと努める。僕の理解では、自由洗脳社会とは、幸せを定義する幾種類もの価値観を、人々が互いに植え付け、洗脳し合う社会である。この社会では、洗脳技術の高い企業・政治家が台頭するのだ。いまの世の中を鑑みると、岡田の予想した洗脳社会が的中しつつある気がする。この興味深いキーワードは、残念ながら、流行らなかったが、社会を捉え直す重要な概念であると、僕は評価する。
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文学賞メッタ斬り!
2007-09-18 Tue 00:58
文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)文学賞メッタ斬り!

大森 望 豊崎 由美



豊崎由美、大森望の読書家二人による、文学賞をテーマとした対談本。
最近は古めの小説しか読んでいなかったので、新進気鋭の作家たちの動向が知れて、なかなか新鮮だった。
 おなじみの芥川賞をはじめに、メフィスト賞や日本ファンタジーノベル大賞などなど、有名どころから耳慣れない文学賞の裏話が聞ける。
 まずは芥川賞での選考過程の裏話に、ちょっとびっくりした。

 「とにかく今、芥川賞の行方を左右しているのは宮本輝なんですよ。とりあえず、テルちゃんに読ませなきゃいけないわけ。テルちゃんでもわかる日本語、テルちゃんでもわかる物語、それが芥川賞への近道(笑)」(p18)

 ほんとかどうかは分からないが、ところどころで選考委員の宮本輝と渡辺淳一をくどいほど、批判していた。個人的な印象だけど、豊崎氏のはなしはおもしろいけど、ゴシップ的な要素があり、信頼できなそうだ。興味深かったのは、後半の新人賞の話から。メフィスト賞は型破りな作品に受賞させていて、日本ファンタジーノベル大賞は、現代文学の新しい才能を発掘しているのだという。

「極端なことを言えば、日本の新人賞ってメフィスト賞とファンタジーノベル賞があればあとは要らない、わたし的にはね。」(p256)

 これも、豊崎氏の発言だったかと。
 ちなみにメフィスト賞からは舞城王太郎が、日本ファンタジーノベル大賞からは鈴木光司や森見登美彦が選出されている。このあたりの章を読んでいると、新人作家たちの新しい小説に触れてみたくなってきた。(ちなみに新人作家として古川日出男が絶賛されていたので、『サマーバケーションEP』、『ベルカ吠えないのか?』を読了。たしかに作風は新しいけど、おもしろいかどうかは疑問だった。)
 評価の定まった昔の作品を読むのもいいけど、今まさに才能を開花させようとしている若い人たちの作品をリアルタイムで読むのも楽しいのかも。
 文学賞ガイドとしても、新人作家ガイドとしても読める、なかなかおもしろい本だった。
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そんなバカな!遺伝子と神について
2007-04-15 Sun 00:12
そんなバカな!―遺伝子と神について
著 竹内久美子
文藝春秋 (1994/03)



生物は遺伝子を運ぶ乗り物(ヴィークル)に過ぎない。

そして生物の習慣や行動には、利己的遺伝子が強い影響を与えている。

本書にて竹内久美子は以上のような主張を繰り返す。

利己的遺伝子(セルフィッシュジーン)とは、動物行動学者R・ドーキンス

が提唱した概念であり、

「遺伝子とは自己複製をすることのみを目的とし、都合のいいように

乗り物である生物を変化させる、利己的な存在である」

との内容である。

その一例として本書ではイヌワシを挙げている。

イヌワシは、一回の繁殖でたいてい二つの卵を産む。しかしイヌワシは

二羽とも育て上げることが出来ない。

二卵目は、一卵目がうまく育たなかったときのスペアーである。

ここで利己的遺伝子が発動する。

先に生まれたヒナが十分に成長すると、ヒナに弟(妹)殺しを

実行させる。その間、親は見てみぬ振りをしている。

もし弟(妹)殺しが実行されなければ、結局は二羽とも命を落とす

ことになり、遺伝子のコピーは全く残らない、との論理だ。

竹内久美子はこの概念を人間に適用し、姑の嫁いびりや男の浮気、

ひいては戦争について、そのメカニズムの解明を試みる。

ただ、なんでもかんでも利己的遺伝子のせいにして、論じているのには

賛同できない。特に人間の行動が遺伝子によってのみ縛られている

との考えは怪しい。

人間の複雑怪奇な行動は、脳の異常な発達と、複雑な社会システム

による部分が大きいのではないかと僕は考えるからだ。

と、まあ真面目に批判してみたが、本書はエッセイのように読めば

楽しめるだろう。

チンパンジーの凶暴性、ハチやアリの社会性について語っている

ところなどは、珍しい話が聞けて単純におもしろい。

ちなみに本書の存在を知ったのは、中学生時分、父親の本棚で

見かけたのがきっかけだ。

それから、ずっと読みたいと思っていたが、この歳になってやっと

読むことが出来た。

内容は古くなっただろうが、父親も昔読んだのかと思うと感慨深い。


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清張さんと司馬さん
2007-03-19 Mon 23:02
清張さんと司馬さん





かつて編集者として、松本清張、司馬遼太郎と親交が深かった半藤一利

による、二人の文豪の思い出話を綴った手記。

両氏とも時代小説の巨匠として知られているが、歴史認識や小説の表現

方法には顕著な差異がある、と著者は語る。

松本清張が史実を一つ一つ丹念に描写するのに対し、司馬遼太郎は歴史

を鳥瞰し全体の核を批評する、とのこと。

僕自身は松本清張の作品を読んだことがないのでなんとも言えないが、

司馬遼太郎の作品に対する著者の以下の見解には、とても賛同できる。

  
  司馬さんは歴史のなかで果たし得る個人の力を信じ、

  それを証明するために小説を書いていたのかもしれない。

  合理的な精神をもった先見性のある個人の力によって、  
  
  歴史はその流れを変えることも可能なのだ、といっている

  ように思えます。(p92)


また、司馬遼太郎の歴史観については、少々批判的な発言が

ちらほらあり、


  司馬さんは、戦前の憲法によれば天皇は政治的には「空」である、

  というのです。はたしてそうと割り切ってよいのであろうか、

  と私は首を傾げてしまう。(中略)
  
  『坂の上の雲』にも不思議なくらい明治天皇は出てきません。

  (中略)それでちょくちょく司馬さんとは、天皇論をめぐって

  ぶつかりましたが、なんとなく言い負かされておりました。

  でも、やっぱり少々違うんじゃないか、という感だけは残って

  いました。(p166)


という意見のほか、本文中だけでもいくつかの対立点が語られていた。

ところで個人的には、鎌倉時代以前は今の日本とつながるものはない、

と言い切る司馬遼太郎の歴史観が興味深かった。

ラジカルであるがために批判も多いのだろうが、その独特の歴史観は

とても新鮮で、歴史という学問に躍動を感じさせる。

こういった、両氏の著作に対する意見の他、二人の人間性についても

述べられている。この部分も興味深い。

司馬遼太郎は、口が達者で、面白い話に事欠かない。松本清張は、

膨大な歴史の研究書を綴っていたが、日本の学界からは、認められて

いなかった。などなど。

あまりなじみのなかった二人の作家であるが、その人間性の一端を見、

もっと著作を読んでみたくなった。

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東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ
2007-02-19 Mon 10:23
東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ 東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ
遥 洋子
筑摩書房



タレント遥洋子が語る、東京大学上野千鶴子ゼミでの奮闘記。
 上野千鶴子は、言葉に対してなんと厳しいのだろう。
あやふやな発言は、彼女によって徹底的に叩きのめされる。議論は格闘技であり、学者は言葉を武器に激しい戦いをくりひろげているのだ。
僕のように、適当なことをちょいちょい吹いて回る人間は、簡単にKOされることだろう。

 日常生活とはあまりにもかけ離れたこの学問の世界で、はじめ大きくうろたえいた遥洋子も、次第にその広大な知の世界の虜となる。読み進むうちに、こちらまで社会学がおもしろそうに思えてくる。


以下、印象に残ったエピソードを抜粋。

 他のゼミ生に追いつこうと、仕事の合間を縫って三年分のゼミの文献を読みきった著者。以下、著者と上野教授のやりとり。

著者「先生、私、三年分の文献読んだんですけど。」
教授「エエッ!」(中略)
   「ほんとに?」
著者「はい、でも困ったことに、もっとわからなくなりました。
    読んでも読んでも答えらしい答えが出ない。これだけ読んだ
    ところで、私は依然なにもわからないままです。」
   「私どうしたらいいんですか、あえて言うならわかったことはただ
    一つ、あれだけ色々あると、物事は一概に言えない、ということ
    くらい。」(中略)
教授「それがわかればしめたものよ!」(p64-65)

教授いわく、物事が一概にいえず、多面的であることを知っていれば、一面的なもののいいようを否定できるのだと。読書とは、ある事柄に対するたくさんの論拠を得る手段であり、読めば読むほど議論の間違いを指摘できるようになるのだ。

知的好奇心をくすぐる数々のエピソードは、もっと勉強したいという思いを一層強くする。僕ももっと広大な知の世界を旅してみたい、そう思わせる久々に当たりの本だった。

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「ガロ」編集長
2007-02-18 Sun 12:06
「ガロ」編集長 「ガロ」編集長
長井 勝一 (1987/09)
筑摩書房

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漫画雑誌「ガロ」編集長の長井勝一氏が語る、戦後漫画の出版史。

おもしろい漫画を見極める長井氏の眼力に感心した。

絵の上手下手にかかわらず、熱意のある若者には、どんどん

漫画を書かせるという長井氏の寛容さが、つげ義春をはじめ

とする「ガロ」の漫画家たちの才能を開花させる土壌を

作り上げたのだろう。

これを財力の面からサポートしていたのが、漫画「サスケ」

で有名な白土三平氏である。

結果、たくさんの個性的な漫画家が「ガロ」から生まれた。

読後、「ガロ」の漫画が読みたくなり、つげ義春、やまだ紫らの

作品を購入。

何者にも縛られない自由な漫画がそこにあった。


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 機械材料加工学Ⅱ  NEXT

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プロフィール

kkaazz2000

Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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