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下妻物語
2012-10-23 Tue 00:13
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制作年度 2004年
上映時間 102分 
監督 中島哲也
脚本 中島哲也
原作 嶽本野ばら
出演 深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、阿部サダヲ、岡田義徳、小池栄子、荒川良々、生瀬勝久、本田博太郎、樹木希林

 NHK BSで放送中の「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本 喜劇編」の一本に選ばれた、中島哲也監督作品。山田洋次監督が、こんな作品を好んでみているというのは、意外でしたが。ちなみに、本作を見るのは2回目で、かつて見たはずでしたが、4分の3くらいは覚えていませんでした。

 終始ギャグで、笑わせてくれますが、物語の骨格を一言でいうとバディムービーかと思います。このような作品形式で、おもしろさを引き立たせるポイントは、いかに相方同士となる2人の登場人物の価値観がおおきくずれているか、に尽きるのではないでしょうか。お互いが、もう一方の生き方・価値観にひどいカルチャーショックを受け、そのショックに対するリアクションが大きければ大きいほど、観客は面白いと感じる・・・はず。ロリータ・ファッションを愛する桃子(深田恭子)とバイクを愛する暴走族のイチゴ(土屋アンナ)。この設定からして、もうすでに面白そうです。大きな価値観の違いを乗り越えながら、お互いに認めはじめる二人の姿はなんとも感動的です。
 CM監督らしいオリジナルティ溢れる演出もさることながら、あれよあれよと観客の興味をひきこむ技術はさすがと言わざるをえないです。
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裏窓
2012-04-23 Mon 02:06
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製作年度 1954年
上映時間 112分
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚色 ジョン・マイケル・ヘイズ
原作 コーネル・ウーリッチ
出演  ジェームズ・スチュアート、グレース・ケリー、ウェンデル・コーリー、セルマ・リッター、レイモンド・バー

 ヒッチコック監督の名高い傑作です。ヒッチコックのような映像作家が現代にもっといればいいのにと思います。生涯を通じて、映画的な表現方法とは何かを追求する姿勢には、頭がさがります。彼の作品は、映像研究の優れた成果だといえるでしょう。

 主人公(ジェームズ・スチュワート)の視点で、向かいのアパートの人々の生活をロングショットで追う作風は、実験的でもあり映画的でもあります。トリュフォーがヒッチコックにインタビューを行った『映画術』では以下のように語っています。

ヒッチコック
「(前略)体を動かせずに外を眺めている男性がいる。これが映画の導入部だ。展開部は彼の見る事柄を描く。そして、しめくくりはそれに対する彼のリアクションを描く。これほど映画的な発想の純粋な表現はないだろうからね。(後略)」(『映画術』p218)

 『裏窓』は、モンタージュの効果が発揮できるストーリー構成となっています。ヒッチコックは、プドフキンのクレショフ効果を、ジェームズ・スチュワートのクローズアップに適用したと語っています。
 一方で、作中の殺人事件には、直接的な描写はなく、日常生活の不自然さを描くことで、観客に犯罪を想起させています。これによりセールスマンが犯人かどうか不明瞭な状態でストーリーが進みます。後半部、グレース・ケリーがセールスマンの部屋に侵入した際、主人公はセールスマンと目が合ってしまいます。これまで、一方的なのぞき見によって確保されていた安全が、瞬時に侵される様子を見事に描写しています。

 本作には、高度な映像技術が多数盛り込まれていますが、それら全てが作品を盛り上げる役割を果たしております。ヒッチコックの映画は、研究材料として事欠きませんが、これからもじっくりと鑑賞していきたいです。
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パコと魔法の絵本
2012-03-24 Sat 05:56
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製作年度 2008年
上映時間 105分
監督 中島哲也
出演 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡 、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、國村隼、上川隆也

 相変わらずカラフルで派手な演出をする中島哲也監督作品。前作、『嫌われ松子の一生』はお気に入りの一本。劇場で見たかったところですが、機会に恵まれず、数年経った今頃、視聴しています。

<感想>
 謎の病院を舞台に、意地悪な老人「大貫」と、少女「パコ」の交流を描く感動作。少女との交流を通じて、老人が心をひらいていくというのがメインストーリー。ありがちな展開ですが、ついつい見入ってしまう好きなタイプのストーリーです。ちなみに、視聴するまでは、『オズの魔法使い』のようなファンタジー作品をイメージしていましたが、見てみるとわりと現代的なお話でした。
 また、サブストーリーとして各登場人物のエピソードが描かれますが、どれもドラマ性が薄い印象です。これは、脚本のウェイトを、「大貫」と「パコ」の交流に置きすぎてしまったためかと思います。怖いお兄ちゃんの、猿にまつわるエピソードなどは、あってもなくてもそんなに大差なし。また、お医者さんは結局なにものだったのか。『嫌われ松子の一生』では、短い尺の中にドラマ性を詰め込む、驚異的な技術が冴えていたのですが・・・。
 役所広司は、安定した演技を披露していました。ただ、作品のテンポの速さに、若干ついていけていない印象です。土屋アンナは、不良の役ばっかりですね。黒髪にして、真面目な役もやってもらいたいです。
なんだかんだと、文句を羅列しましたが、一見の価値ありの楽しい作品でした。
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ハッピーフライト
2012-02-29 Wed 23:47
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製作年度 2008年
上映時間 103分
監督 矢口史靖
出演 田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、岸部一徳、田中哲司、いとうあいこ


 人気の矢口史靖監督作品。たてつづけにヒット作を発表しておりますが、僕的には「裸足のピクニック」の個性が、いつ復活するのか期待していたりします。

<感想~少々ネタバレ>
 風が吹けば桶屋が儲かる。空港で働く人々のちょっとした行動が、他の担当の仕事へと次々影響を及ぼしていきます。トラブルがトラブルを呼び、めくるめく場面転換によって、空港の職員の仕事を俯瞰できるぜいたくなストーリー構造です。
矢口監督がこれほど綿密に取材をするようなイメージはなかったのですが、取材の成果をうまく映画に織り込められていて感心しました。
後半のピトー管の破損から、空路を調整するまでの一連の流れは、少々マニアックな印象ですが、ちゃんと緊迫感が出ていました。監督はきっとメカが好きなのでしょう。

時任三郎、寺島しのぶ、岸部一徳ら演じるベテラン職員と若手職員たちとの師弟関係もしっかりと描かれておりました。登場人物が多い中、それぞれ仕事人として魅力的に描かれており、見終わって元気がでる映画でした。
毎回、楽しい映画を提供してくれる矢口監督。ただ、このような優等生的な映画づくりで、果たして本人は満足しているのでしょうか。
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ゾンビランド
2011-09-16 Fri 03:16
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製作年度 2009年
上映時間 88分
監督 ルーベン・フライシャー
出演 ウッディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリン、ビル・マーレイ


 いつの間にか、社会人3年目です。
石の上にも三年という言葉がありますが、3年目にもなってくると、それまでとはものの見え方が違ってきたような気がします。
 今年入社25年目を迎える管理職が言っていました。
「若い頃は、会社の不満ばかり言ってきたけど、今になっていい会社だって思うようになった。それは多分この歳にならないと分からないと思う。」
 一度、彼の目を通して、今の会社を眺めてみたいものです。

さて、本題。
 歴代ゾンビ映画の中で、興行成績No.1という輝かしい経歴をもつのが本作。TSUTAYAでもざっと10本は並んでいたDVDがほぼすべてレンタル中だった。ゾンビ映画というマイナーなジャンルを超えて、メジャー映画の仲間入りをしたかのよう。

<あらすじ>
 ウィルスの感染が拡大し人類の大半がゾンビ化した世界。ひきこもりの青年、コロンバスは、独自につくったルールに従い、生き延びてきた。コロンバスは、実家のあるオハイオへ向かう旅に出るが、途中、屈強な男タラハシー、姉妹のウィチタとリトルロックに出会い、一緒に旅を続けることになった。

<ネタバレ感想>
 意外になかった「ロードムービー×ゾンビ」というスタイル。引きこもりのコロンバスとガンマンのタラハシー、バックグラウンドが違うキャラクターたちが、お互いに理解を深めていく姿は感動的だ。ゾンビはあくまで題材、根底にはロードムービーの持つ旅情感がある。
 途中、なぜか急に登場するビル・マーレイは、きっと監督の趣味。メインストーリーからは完全に独立しているが、これはこれでおもしかった。
 
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 アメリカの有名なお菓子らしいトゥインキーは、日本で言うとカステラとか?(もともとはポルトガルから来たものだったか?)。トゥインキーのような小道具が、本編を通し伏線を与えられているというのは、大きな評価ポイントだと思う。観客は、トゥインキー好きのタラハシーに親近感を覚え、キャラクターの造形に深みを与えている。
 映画鑑賞後の爽快感はなんとも言えない。ゾンビランドは、アメリカで生まれ成熟してきたロードムービーとゾンビ映画のエッセンスを受け継いだ、エンタテイメントの秀作だった。
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深海からの物体X
2010-05-24 Mon 02:21
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製作年度 1994年
上映時間 86分
監督 アル・パッセリ
出演 クレイ・ロジャース、シャロン・トゥーミー、マイケル・ボン、アン・ウルフ、ローレン・デ・パルム


 どこかで聞いたことのあるようなタイトルです。そうです、『遊星からの物体X』ですね。たしかに本作は、ストーリー上、『遊星からの~』といくつか類似点はありますが、お察しのとおり全く関係性はありません。ちなみに、監督のアル・パッセリは、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品(『ニューシネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』)にて、SFXを担当していたそうです。

<あらすじ>
 浜辺へ遊びにきた若者達5人は、小型ボートで沖へ出るが、帰りの分の燃料を忘れ漂流する。嵐に遭遇し、ボートが沈みそうになるが、偶然、通りがかりの船を発見する。船に乗り移った5人だったが、不思議なことに船内には人の気配がない。船内で食料を発見した5人は、安心して休むことにしたが・・・。

<感想>
 意外に、楽しめました。若者たちが事件に巻き込まれるという超オーソドックスな展開ながら、サスペンスのツボはしっかり押さえている気がしました。嵐を乗り切って、やっと見つけた船の中に、誰も人がいないというのは、人間の不安を煽る王道の展開ですね。そして船内にはたくさんの魚の標本、一体この船はなんなのだと。
 次に特殊メイク、さすがに『遊星からの~』にはおよびませんが、なかなかどうして、グロテスクなクリーチャーがでてきます。ボビーの口からクリーチャーが出てくるシーンは、本作の見所のひとつでしょう。とりあえず、化け物が出現した原因を、なんでもかんでも放射能のせいにするのはやめて欲しいですが・・・。
 ラストは、お約束の船の爆発。そういえば、『海の上のピアニスト』でも、派手に船が爆発していましたが、それまでのドラマティックなストーリーが台無しになって、興ざめしてしまった覚えがあります。察するに、これは、きっとアル・パッセリ監督の仕業で、ただ単に爆発させたかっただけなのでしょう。
 余談ですが、本作(VHS)は、個人経営のレンタルビデオ店で買ってきたものです。200円也。VHSからDVDへと世代交代した現在、大量のVHSが安価で出回っております。VHSが見られる環境にある人は、たくさんのB級映画が鑑賞できるチャンスです。お近くの個人経営のレンタルビデオ店、もしくはヤフーオークションで珍品VHSをゲットしましょう。
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ゼイリブ
2009-11-16 Mon 03:29
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製作年度 1988年
上映時間 96分
監督 ジョン・カーペンター
脚本 フランク・アーミテイジ
出演 ロディ・パイパー、メグ・フォスター、キース・デヴィッド、ジョージ・バック・フラワー、ピーター・ジェイソン、レイモン・サン・ジャック、ジェイソン・ロバーズⅢ世


 ジョン・カーペンター監督の社会派ホラーの傑作。米誌エンターテイメント・ウィークリーが発表した、カルト映画傑作25選において、18位にランクインしています。

<あらすじ>
 失業中のナダは、通りすがりの工事現場で仕事にありつく。宿無しのナダであったが、仕事場で出会ったフランクにキャンプ地を紹介してもらう。ナダは、キャンプ地近くの教会で、怪しい連中たちの活動に気づき、観察を始める。ある夜、キャンプ地に武装した警察たちが押しかけ、住民達は無理やり追い出される。翌日、もぬけの殻になった教会を探っていたナダは、サングラスがたくさん入った箱を発見する。サングラスをかけ街に出たナダは・・・。

<感想>
 本作を見るまで、僕はジョン・カーペンター監督の実力を疑っていました。『遊星からの物体X』(1982)は、文句なしの傑作ですが、『ザ・フォッグ』(1980)などを見ていると、敵が、急にバっと現れて驚かせる演出ばかりを多用していたり、登場人物が敵に殺されるシーンではあまりにもオーソドックスな演出をしたりします。
 さて本作、冒頭から貧しい人々の生活を映し、アメリカにおける貧富の差を風刺的に描いております。また、壮大なスケールのこの物語は、なかなか先が読めず、展開が意外でおもしろいです。社会風刺とスケールの大きさ、なんとなくキューブリック作品を彷彿させます。ちなみに小道具のサングラスは、ドラえもん的なB級テイストを醸しているが、きっと確信犯でしょう。
 サングラスをかけたときに見える世界は、現代社会の違和感を鋭く指摘しています。宇宙人は、現実世界でいうところの権力者をあらわしているのでしょうか。知らず知らずのうちに、市民の生活がコントロールされているという恐怖は、現実世界でも当てはまっているような気がします。
 ところで、ジョン・カーペンター監督は、登場人物の生活感を出すのがうまいですね。まるで本当にそこに住んでいるかのようです。それに加え、構図、カメラワーク、そして、極力セリフを排除したシンプルなストーリーテリング。ジョン・カーペンター監督は、映像作家としての基礎的な技術をしっかり身に付けているのだと思います。意外に非ホラー作品においても、力を発揮するのではないかと思ってしまいました。
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フランケンフッカー
2009-09-24 Thu 01:09
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製作年度 1990年
上映時間 85分
製作総指揮 ジェームズ・グリッケンハウス
監督 フランク・ヘネンロッター
脚本 フランク・ヘネンロッター
出演 ジェームズ・ロリンズ、パティ・マレン 、シャーリー・ストーラー、シャーロット・ヘルムカンプ、ルイーズ・ラサ


 映画『バスケットケース』(1982年)をヒットさせたフランク・ヘネンロッター監督の意欲作。ホラーの古典『フランケンシュタイン』の現代版といったところだろう。製作は、『エクスタミネータ』の監督、ジェームズ・グリッケンハウス。ちなみにフッカー(hooker)は「娼婦」という意味。

<あらすじ>
 自称「生物電気工学技師」のジェフリーは、婚約者であるエリザベスの父の誕生日に、自作の芝刈り機をプレゼントする。ところが、芝刈り機を作動させようとしたエリザベスは、誤って機械にまきこまれ肉片と化す。婚約者の死に悲観するジェフリーは、科学の力でエリザベスを甦らそうとするが・・・。

<感想>
 こんな映像観たことない。娼婦達が次々と爆発するシーンだ。おそらくマネキンを使っているのだろうが、血の代わりに火花が散る人体破壊描写は新鮮だ。特殊メイクの安っぽさは否めないが、良くも悪くも(いや、ここは良いと言い切ろう)常識では考えられないような光景が繰り広げられる。
 とりあえず、つっこみどころは満載である。ばらばらになった娼婦の脚を、ジェフリーが軽々と持ち上げるシーンは、さすがにもうちょっと演技しろよと言いたくなる。それじゃあ明らかにマネキンだろ。また、エリザベスを復活させるにあたって、かなり複雑な回路設計図を机一杯に広げていたが、割と簡単に人造人間を作っていました。(雷を受けて、はい出来上がりという描写は、オリジナルの『フランケンシュタイン』から、進化していない。)
 コメディ仕立てのストーリーは、悪くないが、あと一歩といったところ。街へ出てフランケンフッカーが暴走するという展開は、『フランケンシュタイン』そのもの。大体予想どおり。人造人間としての複雑な心理もなし。もうひと頑張りあれば、語り継がれるカルト作品になったに違いない。

<余談>
 ライター/翻訳家の小林真里氏のブログに、監督の家を訪問したときの記事が掲載されておりました。ご参考までに。

【100%】過剰なライター/翻訳家 小林真里の rock n' roll days
http://ameblo.jp/masato-ny/entry-10280737406.html
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血を吸うカメラ
2009-08-31 Mon 23:11
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製作年度 1960年
上映時間 102分
製作 マイケル・パウエル
監督 マイケル・パウエル
脚本 レオ・マークス
出演 カール・ベーム、アンナ・マッセイ、モイラ・シアラ


 巨匠マイケル・パウエルによるカルト・ホラー。一度DVD化されたものの、現在は廃盤となっておりプレミア価格がついております。近くに大型レンタルビデオ店などが無い限り、視聴が困難となっているのが現状です。新宿TSUTAYA万歳。

〈あらすじ〉
 撮影助手を務める青年マークは、女性が恐怖におののく姿をカメラに収めるという異常趣味を持つ。女性たちはナイフを突き立てられる自らの姿を、鏡越しに見せ付けられ、あまりの恐怖に顔を歪めるのであった。次々と女性を殺害するマークであったが、ついに警察に足取りを捕まれ…。

〈感想〉
 賛否両論ありますが、僕は結構好きです。まずは、オープニング。カメラを撮影するマークの目線で、女性が恐怖のために顔を歪める姿を追います。その後、自宅で撮影したフィルムを再生。さきほどと同じ光景がモノクロで繰り返されます。極めてクリエイティブかつ簡潔にマークの異常趣味を説明したシーンだと思います。

 さて、ホラーというジャンルは、観客を怖がらせることが大きな目的です。これは異論が無いかと思います。そのため一般的なホラーは、だいたい、追う側(怪物、犯罪者)と追われる側(被害者)が存在し、主人公が追われる側であることが多いです。追う側が未知なわけですから、サスペンスやスリルが増すという寸法です。一方、本作は、主人公が追う側となっており、一般的なホラーの設定を逆転させたスタイルになっております。このようなスタイルで、成功した作品の一つにウィリアム・ワイラー監督の『コレクター』(65年)が挙げられます。『コレクター』も主人公が追う側というスタイルをとりますが、物語の進展とともに、感情移入の対象が準主役の女性役(終われる側)に移り、観客は主人公に対し恐怖を感じるようになります。現代から観ても、極めて珍しいタイプのホラーです。

 ここで、もう一度本作を観てみましょう。本作も、後半になるにつれて、準主役の女性役の登場頻度が多くなってきます。『コレクター』の成功ポイントに近づきそうです。ところが最後まで、いまいち女性に感情移入ができません。この理由は明白で、主人公があまりにもいい人すぎて、いまいち女性が危機にさらされているように感じられないためでしょう。『コレクター』では、主人公がだんだん悪人の本性をあらわしてくるのです。
 『血を吸うカメラ』は、ホラーという点で未熟ではありますが、きっと『コレクター』のアイデアのヒントになったのだと思います。このような特異なストーリ構造は、現代でこそ省みる必要があり、エポックメイキングと呼ぶにふさわしい作品だなと思いました。
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ホステル
2009-08-18 Tue 00:26
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製作年度 2005年
上映時間 93分
監督 イーライ・ロス
出演 ジェイ・ヘルナンデス、デレク・リチャードソン、エイゾール・グジョンソン、 バルバラ・ネデルヤコーヴァ、ヤナ・カデラブコーヴァ、ヤン・ヴラサーク、リック・ホフマン、三池崇史


 新世代ホラー映画監督、イーライ・ロスによるサスペンス・ホラー。最近は、過去のホラー映画ばっかりほじくり返して観賞しておりましたが、たまには最近のやつも観ようと、割と評価の高い本作を観てみることにしました。

以下、ネタバレ。

〈あらすじ〉
 ヨーロッパを旅する3人の青年たちは、アムステルダムで知り合った男の話からスロバキアに向かうことにした。当地のホテルで宿泊し、豪遊する三人であったが、一人ずつ行方が分からなくなり・・・。

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〈感想〉
 冒頭は、お色気たっぷりの豪遊シーン。今風のやんちゃなアメリカ人青年たち(一人はアイスランド人だが)の姿を描いている。見所は、中盤からの拷問シーンだろう。とはいいつつも、予想に反して血は比較的少なかった気がする。無慈悲な演出をする過去のスプラッタ映画監督ならば、チェーンソーでやたらめったらに切り刻むくらいやったであろう…。とはいえ、この残酷な仕打ちがあるために、後半、パクストンが逃亡するシーンはなお緊張感に溢れる。捕まったらマジでやばいぜ。
 また、拷問に加え、シナリオの意外性にも注目したい。中盤、パクストンが酔ってバーの倉庫に閉じ込められるシーン。次のカットでは、舞台が拷問部屋に転換する。これは、パクストンが捕らえられたな、と思ったら、捕まっているのはもう一人のアメリカ人青年ジョシュであった。パクストンが倉庫に閉じ込められたのは、単なる事故であったのだ。このような定石外しは、きっと監督のホラー映画好きに起因していることだろう。ホラーというジャンルで次の展開を言い当てられることほど、悲しいものはない。

〈余談〉
 イーライ・ロス監督のインタビューを、以下一部引用。

 ロス「(前略)ニューヨーク大学で映画を専攻している奴らときたら、アート系ばっかでさ。エイズだホームレスだ社会問題だって、どいつもこいつも自分はスコセッシかなんかだと思ってる。でもそいつらの持っているビデオは『ポーキーズ』とか『アニマルハウス』なんだよ?どうして自分が観ている種類の映画を撮らないんだ?そう思ったから、オレはマクドナルドで手足が飛んで血がぶちまけられる映画を撮った。(中略)映画学科にはだいたい700人ぐらいの生徒がいたけど、その中で、ちゃんと映画の監督になれたのはオレだけだ。ざまあみろ!って感じだよ!」
(出典:ショック!残酷!切株映画の世界 p101)

 ロス監督の発言は示唆に富んでいる。こぞってアート系映画の製作に励む映画監督志望の学生たち。アート系映画の社会的需要はすでに飽和しているのである。それよりも各々自分がおもしろいと思う映画を製作することにより、ジャンルがばらけて監督デビューの競争率も減るし、観客にもうれしいのではないか。なんてことを、本文を読みながらつらつら考えていました。
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プロフィール

kkaazz2000

Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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