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価格破壊
2007-06-08 Fri 02:01
価格破壊 価格破壊
城山 三郎



 今は亡き城山三郎氏の痛快経済小説。
くだらない漫画を読んでいるくらいなら、まずはこれを読みなさい!日本にはこんなにおもしろい小説が、あるのだぞ!と声を大にして言いたい。

 本作の主人公矢口は、ダイエーの創業者、中内功がモデルになっている。流通に革命をもたらしたといわれる中内氏の経営戦略を、ダイナミックに描けている。
矢口は、製造業者が製品の価格を決めるべきという再販制度に対抗し、自ら破格の値段を設定し安売りを展開する。商品の価格は、メーカーが決めるべきではなく、小売店が決めるべきだという主張を貫く。

 その主張の背景には、矢口の悲惨な戦争体験がある。食料がなくて困窮していた戦時中、ものが溢れる国を夢見ていた。売って、売って、売りまくって、日本をモノが溢れかえる国にしたかった。

当然メーカーからのいやがらせが連日続く。しかし問答無用に価格破壊を押し進める矢口。

問屋からの接待は、絶対に受けない。

「接待にかけるお金があるのなら、もっと仕入れ値を安くしてくれ」

 と言い放つ。矢口の出店したスーパーの影響で、経営不振に陥った商店の主人が自殺をはかったときも。

「工夫が足りない店はいずれつぶれる」

 と、あっさり受け流す。非情な矢口の言動に、僕自身まゆをひそめつつも、なぜか矢口の姿が魅力的にみえた。手塚治虫による『ブラック・ジャック』も然り、世間から反発を受けやすい性格の主人公が、反発をものともせず、自らの手腕で難局を切り抜けていく姿は、正統なヒーロー像にはない魅力があるものだ。

 ところで流通という特殊なテーマで、矢口がしっかりとヒーローの座を築けているのは、注目すべき点だ。こうしてみると、小説の題材というのは無数にあるように思えてくる。どのような題材でも、作家の技量しだいで、ドラマたりうる作品に仕上げることが可能なのだ。一級のストーリーテラーである城山氏はいうまでもなく。
 本田宗一郎をモデルにした小説なんかあれば読んでみたいな。自動車工学を題材に普遍的なおもしろさを追及するというのは、かなり難易度が高そうだけれど…。


 最後に、青春とは鍛えるためにあるのだ、との名言を吐く矢口の姿に、戦後の復興を支えた日本人の底力を見た。



追記 2008年11月28日(金)

 最近知ったことですが、城山氏は、本田宗一郎をモデルにした『勇者は語らず』という小説をすでに書いているみたいです。全然知らなかった。登場人物を魅力的に描写するのがうまい城山氏にこそ書いてもらいたかった題材だけに、これから読むのがすごく楽しみです。


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 大阪の小さな薬局を、業界初の売上高1兆円企業にまで育てあげたダイエー創業者の中内功氏。「価格破壊」を最大のミッションとして流通革命を志し、一度は成功したが、その後、ダイエーは大きく傾き、中内氏の晩年も決して恵まれてはいなかった。 中内氏は、激動の経営 …
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Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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