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系列
2008-12-11 Thu 01:06
系列 (角川文庫)


 来年から自動車会社に勤めるということもあり、業界研究を兼ねて読んでみました。経済小説の大家、清水一行氏の作品を読むのは、今回が初めて。
 さて、本作は自動車部品メーカの社長・浜岡茂哉とその息子・祥吾が、自動車メーカからの理不尽な要求に対抗する姿を描いたものです。自動車メーカと部品メーカ、いずれも独立した企業だけれども、その収益構造のために、一般的に部品メーカの立場のほうが弱いといわれています。作中の大成照明器(部品メーカ)も例にもれず弱い立場にたたされています。大成は東京自動車(自動車メーカ)に株式をにぎられているものの、21%と経営権を奪われるほどの保有数には至っていない。ところが大成は、全収益のうち50%超を東自車との取引に依存しており、その経営体質のネックをつかれ、大成内の人事についてまで東自車から横槍を入れられる。東自車のゆきすぎる内政干渉については、ぜひとも読んで確かめてほしいです。かなりの誇張はありそうですが。ちなみに東自車は、日産自動車がモデルになっているそうです。

 以下、ネタバレ、および主観的な感想になります。

 完成車メーカのサプライヤ叩きは、確かに自動車業界の闇の一つであると思いますが、あまりにもその点に注力しすぎていて、肝心の自動車の話しがほとんど出てきませんでした。そのためかどうかは分かりませんが、読者を飽きさせないように、息子・祥吾の恋愛話をサイドストーリとして登場させるなどの工夫が見られます。蛇足とまでは言いませんが、本編とはあまり関係がないような気がして少し残念でした。
 作品後半、祥吾が大成内の経営改革をスタートさせるくだりは、すごくワクワクします。祥吾によって大成の独立が達成され、ハッピーエンドで幕が閉じるのかと思っていたけど、残念ながら内部の裏切りにより数ページほどで経営改革はストップしてしまいます。経営改革によるサクセスストーリを展開させることもできたと思いますが、きっと作者の意図で、徹頭徹尾、大成がいじめられるシーンが続きます。
 清水一行氏は、小説家でありつつ、ジャーナリストの精神を持っているのだと思います。大成照明器の社員のみじめな描かれ方は、社会に対する批判を喚起します。エンタテイメントよりもジャーナリズムに比重を置いたことが、本作の成り立ちだといえるでしょう。

 最後に、自動車業界を描いた小説を読むなら、開発現場における葛藤を描いた作品を読んでみたいと思いました。権力闘争や組織を描いた作品は、わりとありふれているような気がします。ぜひとも日本の技術力を小説にしてもらいたいものです。←『系列』のテーマ全否定、身も蓋も無いね笑

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別窓 小説 コメント:1 トラックバック:0 ∧top | under∨
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この記事のコメント
車産業も不況らしいけど、やっぱり日本の車は最高でしょう。外車には乗った事ないけど、日本車だと故障とかも滅多に無いしね。
小説について。メーカと下請けの関係とかって永遠の悩みの種ですね。なかなか難しいところだろうと思います。
悩みは尽きぬ愚かな人間ですが会ったら話しましょう。またね。
2008-12-16 23:46 | URL | しんご #- 内容変更
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Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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