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僕は模造人間
2007-02-24 Sat 23:56
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僕は模造人間 / 島田 雅彦

一風変わった青春小説。果たして青春と銘打ってよいものか。

じめじめ、ねちねちとした性格の主人公、亜久間一人(あくまかずひと)

が、物語をとおして、じめじめ、ねちねちと独白を重ねる。

常軌を逸した主人公の人間性に、何度かついていけなくなってしまった

が、怖いもの観たさのような好奇心が、僕を最後のページまで運んで

くれたようである。

ところで、模造人間とは何だろうか?

本文では、


 (以下、亜久間一人の独白)

 僕は亜久間一人が何者なのか理解できてしまった。

 もはや、亜久間一人は謎でも何でもない。

 あいつは、他人の体や思考回路を複写する機械なのだ。

 人間は<僕>や<私>という部分と亜久間一人とか三島由紀夫といった

 模造人間の部分とが強引に合成されたものだ。(p183)


との記述がある。

模造人間とは、「外部から影響を受けてできあがった人格の一部」と

推察できる。タイトルだけ読むと、アイデンティティーを問う物語に

見えるが、この小説の主人公、亜久間一人は、そのような健全?な考え

を持たない。

むしろ模造人間の自分を積極的に受け入れ、その様子を自ら楽しんで

さえいる。

この奇妙な青年の姿が、ひとごととは思えず、僕自身、内面を鑑みる

に、模造人間の存在に気づく。

それに何の疑問も抱かない僕こそ、きっと模造人間に違いない。

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十九、二十
2007-02-21 Wed 15:18
十九、二十(はたち) / 原田 宗典

山崎少年、十九歳。

父は借金をつくってひきこもる。

帰省の電車賃だけでも稼ぎたい。

少年がみつけたバイトはエロ本出版社だった。


二十歳を過ぎると、たまに十代の気分を思い出したくなる。

そんなとき手に取るのが、本書のような青春小説である。

本書は山崎少年の十代最後の夏を、甘くかつ苦く描く。

十九、二十歳という年齢は、人にとって特別な時期なのかもしれない。

傷つきやすいが、いくら傷つけられてもへこたれない。

そんなバイタリティーがあるのが、この年齢ではないか。

この夏味わった山崎少年の苦味、決して無意味ではないのだと

思わずにはいられない。



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さぶ
2007-02-20 Tue 21:09
さぶ
著 山本周五郎
新潮社(1965/12)


江戸の職人、栄二は無実の罪により捕らえられ、石川島にて労役の

義務を負わされる。

罪をかぶせられた栄二は、世間が信じられなくなり、口を固く閉ざす。

幼なじみのさぶは、彼の元に何度も足を運び励まし続ける。

石川島の仲間たちと、触れ合う中で栄二は大きく成長する。

タイトルは、「さぶ」だが、主人公は間違いなく栄二だ。


石川島というのは、罪人たちの寄り場である。そこでは、労役の

義務を負わされ、各々気に入った仕事を選んで働く。

これは、釈放後の社会復帰を想定している。

江戸時代に、こんな複雑なシステムが本当につくれたのかなと、

意地の悪い僕は疑ってしまうが、それはおいといて、

栄二の成長の場として、この石川島を選んだのは絶妙だ。

栄二と同じように、世間から傷を負わされたもの、

欺かれた者、色んな人間がそこに集まって共同生活を行う。

このような仲間に囲まれて、栄二は次第に心を開いていく。

簡潔な文体ながら、登場人物のセリフがずしっと響く。

いつの時代でも、悩む事柄は似ているのだなと感じた。


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愛と幻想のファシズム
2007-02-18 Sun 00:28
愛と幻想のファシズム〈上〉 愛と幻想のファシズム
村上 龍



とてつもなくスケールの大きな政治経済小説。

狩猟をこよなく愛す主人公、鈴原冬二が、システム化された社会を破壊

すべく、政権奪取を企てる。

システムの破壊を目的として立ち上げた政党が、その規模を大きくする

につれ、自身システム化していく様が皮肉だ。

物語の合間合間に、描かれる世界経済の動向は、村上龍の勉強の成果。

しかし、勉強不足の僕にとっては、それがリアルなのかどうか分から

ず、ふ~んくらいの印象で、あまり興味を持てなかった。

作中の経済に関する専門用語に時代を感じるのは仕方ないとして、

東西対立の図式に支配されている本作の世界観は、さすがに違和感

を感ぜざるを得ない。

大きく興味が惹かれたところは、狩猟のシーンだ。自然に抗う男達の

姿をリアルな筆致で描写し、狩猟の厳しさを伝えている。


村上龍は、きっとシステムに振り回される人間の姿を描きたかった

のだと思う。しかし、そのシステム(政治、経済)自体の描写が過剰

すぎて、当の振り回される人間たちの描写がなおざりにされているよう

に感じた。

不必要な状況描写は、冗長さを生むだけだ。読者は、経済の進展よりも

登場人物の行方を知りたいのだ。

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プロフィール

kkaazz2000

Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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