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エルゾンビ 死霊騎士団の覚醒
2009-08-12 Wed 02:07
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製作年度 1971年
上映時間 84分
監督 アマンド・デ・オッソリオ
出演 チェサー・バーナー、ローン・フレミング、ヘレン・ハープ


 アマンド・デ・オッソリオ監督による、ブラインドデッドシリーズ第一作。ゾンビ映画の中では傑作と謳われる本作ですが、レンタルDVDなどで、なかなかお目にかかることができませんでした。これはもう身銭を切らないと一生見ることができないなと判断し、思い切って購入しました。2500円也。ちなみに、このような障害は、ホラー映画ファンに常についてまわる宿命だといえます。オークションで競り落とすなど、やっとのことで視聴できた作品が、とんでもなくつまらないなんてことはザラであります。

以下、一部ネタバレ。

 初見の印象としては、まあまあという感じです。馬で駆けるゾンビのスローモーションシーンは、幻想的で一見の価値ありかもしれません。しかし、それ以外にこれといっておもしろい点は、ありませんでした。ゾンビの襲撃も、甘噛み程度と、地味な感じにとどまっております。不満点を列挙すると、
 (1) ストーリーが凡庸
 (2) 展開が遅い
 (3) 派手なスプラッタなどがない
など容易にあがってきます。

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 『ゾンビ映画大事典』の著者、伊東美和氏は、作中の①ゾンビが馬に乗って追いかけるシーンと、②ラストでゾンビが街にやってくるシーン、を賞賛しておりました。私的には、それだけで果たして傑作と呼べるのだろうかと疑問が残ります。
 古いホラー映画は、いろんなところで誉めておかないとすぐに廃盤になってしまうので、あんまりけなしたくないのですが、身銭を切った分、若干辛口になってしまいました。うーん、だいぶ期待していたんだけどなあ。

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ナチョ・リブレ 覆面の神様
2009-03-02 Mon 02:12
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製作年度 2006年
上映時間 92分
監督 ジャレッド・ヘス
脚本 ジャレッド・ヘス 、ジェルーシャ・ヘス 、マイク・ホワイト
出演 ジャック・ブラック、エクトル・ヒメネス、アナ・デ・ラ・レゲラ、
    リチャード・モントーヤ、ピーター・ストーメア、
    セサール・ゴンサレス、ダリウス・ロセ、モイセス・アリアス、
    トロイ・ジェンティル


またまた長い間放置していました。パソコンに向かって文章を練る作業は、なかなかにパワーがいるもので、ついつい怠ってしまいがちです。結局、本年度更新した回数は、指を折って数えられるほどでしたね。

さて、『ナチョ・リブレ』。名優ジャック・ブラック主演のコメディです。主役の存在感が、映画の魅力を一層引き立てている佳作だと思います。僕的には、すごく好きです、この映画。

以下、ネタバレ。

修道士のイグナシオ(通称ナチョ)は、レスラーに憧れ、ヤセ(スティーブン)とともに密かに試合に出場する。試合を重ねるも、連敗につぐ連敗の二人であったが、ついに王者ラムセスに挑戦するチャンスをつかみ・・・。

ストーリーは、割と普通かと。何がおもしろいかって、脇役の方々があまりにも「素」で笑えます。孤児院の子供達、ヤセ、全然表情ないです。でもたまに、さらっと発するセリフが泣かせます。

朝食のまずさを神父になじられ、教会をあとにするナチョに対し、

孤児「料理、おいしいよ。」

↑なんかグッときました。孤児はやっぱり素。

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本作は、おそらく、他のスポ根映画と区別するためか、まじめに訓練するシーンなどが省かれています。『ロッキー』やたいていのスポ根ものは、主役が訓練する姿のシークエンスを流し、段々成長していく様子が描かれます。こういった定石を、あえてはずすことが、コメディの作法なのでしょう。
王者ラムセスのキャラがいまいち立っていなかったのが若干残念ですが、ハートウォーミングな本作は、細かいつっこみに耐え切れるぐらいのおもしろさとパワーを兼ね備えていました。

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バタリアン
2008-11-24 Mon 22:38
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製作年度 1985年
上映時間 91分
監督・脚本 ダン・オバノン
出演 クルー・ギャラガー、ジェームズ・カレン、ドン・カルファ、
    トム・マシューズ、ビヴァリー・ランドルフ、ジョン・フィルビン、
    リネア・クイグリー、ジュエル・シェパード、
    ミゲル・A・ヌネス・ジュニア


 ゾンビ映画好きの僕ですが、このシリーズは未見でした。
ジョージ・A・ロメロの諸作品があまりにもよくできていたために、他のゾンビ映画に魅力を感じなくなったためです。ロメロ作品と、その他のゾンビ映画との間には、それぐらいのクオリティの差があると僕は感じています。数少ない例外は、ピーター・ジャクソン監督の『ブレイン・デッド』とルチオ・フルチ監督の『サンゲリア』かな。前者は、血のサーカス。後者は絵画的である。いずれも一見の価値あり。
 さて、本作『バタリアン』は、ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が元ネタになっているみたいです。後半部、墓地からたくさんの死体が復活する場面は、たしかに『ナイト~』のオマージュだといえるでしょう。
 ところが『バタリアン』は、『ナイト~』のオマージュでありながら、ロメロ監督がつくりあげてきたゾンビ像を一部捨て、新たな解釈を付与しています。まず、ロメロ監督のゾンビは、うごきがのろく、意識をもたず(近作『ランド・オブ・ザ・デッド』では意識をもちはじめるが)、頭脳を破壊すると死滅する。他のゾンビ映画も、だいたいこのルールを継承しています。これに対し『バタリアン』のゾンビはというと、めっちゃ走るし、喋ります。あと首を切ってもまだ動きます。たしかに、ロメロ監督のゾンビは、簡単に退治できてしまうので、ぬるいような気もしますが、ここまで無敵にしなくてもというくらい『バタリアン』のゾンビは強いです。これは、見てのお楽しみですね。

 『バタリアン』の特殊メイクは、ロメロ作品とおなじくらい気合が入っています。ロメロ監督があくまでリアルさを追求していたのに対し、『バタリアン』は斬新さを追及しているようです。二つ割りの犬や、喋るゾンビの老婆など、おもしろい美術が続々登場します。多くのスプラッタ映画について言えることだけど、人間を深く描いていないためか、他のジャンルに比べドラマ性が薄いように感じます。しかしドラマ性が薄くても、血と肉のリアルささえあれば作品として成立してしまうのが、スプラッタ映画です。本作『バタリアン』も、ゾンビとユニークな美術の牽引力によって、かなり満足できる作品となっていました。続編もみたいですね。
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包帯クラブ
2008-06-16 Mon 02:54
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製作年度 2007年
上映時間 118分
監督 堤幸彦
脚本 森下佳子
原作 天童荒太
出演 石原さとみ、柳楽優弥、貫地谷しほり、田中圭、佐藤千亜紀、関めぐみ、原田美枝子、塩見三省


 堤監督の作品は、ずっと敬遠していました。身も蓋も無い言い方をすれば、映像ばかり凝っていて、中身が薄い印象があったからです。
 テレビドラマ『トリック』、『下北サンデーズ』は何がおもしろいのか分かりませんでしたし、映画『恋愛写真』では、前半部でうならされたものの、後半部の安っぽさにガッカリさせられました。
 そこで、本作。朝ドラ『ちりとてちん』の貫地谷しほりが出演しているとのことで、レンタルDVDに手を伸ばす。裏面を見て、がっかり。「なんだ、堤幸彦か」。←失礼。でもまあ、原作が小説だし、ちょいと見てみるかと。

以下ネタバレ

 冒頭のワラ(石原さとみ)とディノ(柳楽優弥)の対面シーンなど、危うく寒くなりそうなシーンが幾度かあったが、絶妙なタイミングで危機は脱していた。どうでもいいけど、個人的に、タンシオ(貫地谷しほり)のキャラが結構好き。ワラは、いかんね。ディノは、関西弁うますぎ。

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 包帯クラブというモチーフで、一体どうやって話をひろげるつもりだろう、との期待感。登場人物ひとりひとりが、過去になんらかの傷を負い、それを一つずつ解決していくという展開だった。ストーリー展開がモチーフと合っていて、うまくまとまってはいるものの、もう一ひねり欲しい。一つに、登場人物の過去。これを創造するのは、難しいことなのだろう。これだけ、物語が溢れていれば、どんなに頑張っても、かぶってしまう。離婚、友情の崩壊、性犯罪、暴力事件、などなど。しかし、ディノの過去だけは、もう少し詰めて欲しかった。包帯クラブが街中に包帯を巻くたびに、ディノが傷ついていくというのはよくできた展開だと思うが、その理由が納得しがたい。このためかどうかは、分からないが、総じて「よくある話」で収まっているような気がする。
 演出は、昔ほどラディカルでは無くなったが、まだ端々に独特さが見受けられる。急に止む音楽、突然切り替わるカットなど、興味深い映像表現が登場。これぐらいならまだ許せる。
 なぜ舞台が高崎なのかは分からないが、高層ビルが異様に目立つこの街の規模は、確かに物語と合っている。物語終盤、橋のたもとで、ワラがディノに抱きつくシーンにて、不覚にも涙を溜めてしまう。堤監督、やるではないか。
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天然コケッコー
2008-03-25 Tue 00:41
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制作年度 2007年
上映時間 121分
監督 山下敦弘
脚本 渡辺あや
撮影 近藤龍人
出演 夏帆、岡田将生、柳英里沙、藤村聖子、森下翔梧、本間るい、宮澤砂耶、夏川結衣、佐藤浩市、廣末哲万、大内まり


 全校生徒7人という田舎の学校を舞台にした青春映画。中学二年の右田そよ(夏帆)は、小学校からずっと、同級生のいない学校生活を送っていた。ある日、東京から大沢広海(岡田将生)が転校してくる。広海に密かな恋心を抱くそよだったが。
 こういう素朴な設定が好みです。僕自身、田舎で生まれ育ったことが一つの理由かと思います。

 山下敦弘監督は、最近、知人の間でよく話にのぼる人です。最近では、『リンダリンダリンダ』で話題になった監督で、日本のアキ・カウリスマキだとか、日本のジム・ジャームッシュだとか言われていたそうです。新人監督は、作風が高名な巨匠のものに似ていると、よく「××(巨匠の名前)の再来」なんて言われますが、本人にとってはあまりうれしい言葉ではない気がします。なぜなら、暗にパクリだと言っているみたいだから。
 それは置いておいて、たしかに本作を観ると、かように評される理由がわかる気がします。これといって大きな事件が起きなかったり、ささいな日常生活を撮るのがうまかったり、カットがやたら長かったり。

 恋に発展する前の恋を描いたとかなんとか、監督はどこかでおっしゃっておられました。そよの不可解な行動は、恋心を自覚できないという精神的な発育途上が起因しているわけです。映画『耳をすませば』は、少女と少年がはっきりと恋愛を自覚するまでを描いた名作ですが、これに対し『天然コケッコー』の二人は、最後の最後でやっと恋愛に気づきはじめる。その繊細な瞬間をラストシーンに迎えたところが、なんともにくい。恋愛に幻想を抱けなくなった方、都会の喧騒から離れたい方、ぜひ一度鑑賞を。
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櫻の園
2008-02-29 Fri 10:08
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制作年度 1990年
上映時間 96分
監督 中原俊
脚本 じんのひろあき
原作 吉田秋生
出演 中島ひろ子、つみきみほ、白鳥靖代、宮澤美保、他


中原俊とは、一体どんな人物なのだろう。
彼の作品と経歴を見比べるとそんな素朴な疑問が浮かんでくる。
1951年鹿児島市生まれ。ラ・サール高校、東京大学を経、日活に入社。鈴木清順らのもとで助監督を務め上げ、1982年、ピンク映画でデビューした。その後すぐに日活を退社しているものの、日活ロマンポルノで育っていった他の映画監督らと比較すると、あまりに繊細な作品を生み出している。また、彼の演劇的な作風は、現在の日本映画界でも少数派だ。彼が日活を退社したのは、すでに自分の適性を見抜いていたためではなかろうか。

創立記念日にチェーホフの『櫻の園』を上演するのが伝統という、とある女子高の演劇部。物語は、上演直前の部室から始まる。群像劇のスタイルをとる本作では、少女一人一人に、まんべんなくスポットが当てられていく。劇中、多くの女生徒が登場するが、観客に混乱させることなく、うまく人物を描き分けられている。
一方、カメラは、ワンカットで何人もの少女の会話を巧みに追っていく。我々観客は、男子禁制の少女達の社会を、覗き見しているかのようである。
幻想的な世界の構築に成功した本作は、僕が思うに吉田秋生の原作を凌駕している。中原俊は、吉田秋生以上に少女漫画の世界を描くのがうまいといえるのかもしれない。原作において淡白だった登場人物たちは、フィルムによって命を吹き込まれ、痛切な悩みをよりリアルに発しだした。また満開の桜の木々は、快くせつなかった。
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キサラギ
2008-01-16 Wed 10:20
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製作年度 2007年
上映時間 108分
監督 佐藤祐市
脚本 古沢良太
出演 小栗旬、小出恵介、ユースケ・サンタマリア、塚地武雅、香川照之
    酒井香奈子、宍戸錠


自殺したアイドル、如月ミキを追悼するため5人のファンが集う。
如月ミキの話題で盛り上がるつもりでいた彼らだったが、一人の男の言葉をきっかけに、彼女の死の真相について激しい議論が闘わされて。


<以下、ネタバレ注意>


過去の出来事の真相に迫っていくというのは、古くは『第三の男』から連綿と続いているテーマだ。特に密室劇ということで、『十二人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』が想起される。次々に新たな事実が判明し、不可解だった部分が解決していく。基本的にはこの流れで観客を引っ張っていくが、個性的な演者たちの熱演もその牽引力となっている。
『十二人の怒れる男』、『12人の優しい日本人』はどちらも陪審員制度を扱った作品だが、鑑賞後、なんだか腑に落ちなかった。両方とも確かによく出来た作品なのだが、一人の人間の有罪無罪を議論で決定してもいいのだろうかと、少し不謹慎な気がしたのだ。織田裕二ではないが、事件は現場で起きているのだ。

この個人的なしこりを解消してくれたのが、本作『キサラギ』である。『キサラギ』に登場する人物たちのスタンスは、議論から導き出された結論が、真実でなくてもかまわない、というものである。そして、その結論はこの場にいる全員の心を救い、如月ミキの人物像を惹きたてる。『キサラギ』は、『十二人の怒れる男』のストーリテリングを継承しつつ、より映画らしいテーマを獲得したと言える。
ただ、ラストで若干もたついたのは、残念。星空が登場する必然性はどこにもないし、宍戸錠の登場はなおさら必要なし。


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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
2008-01-12 Sat 10:33
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製作年度 2007年
上映時間 112分
監督 吉田大八
原作 本谷有希子
出演 佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美、山本浩司、
    土佐信道


 劇作家、本谷有希子原作のブラックコメディ。CMディレクター出身の吉田大八は本作で監督デビュー。最近、邦画ばかり観ているが、ホームドラマの秀作が目に付く。『空中庭園』、『蛇イチゴ』、etc。一見、平凡で穏やかな家庭だが、じつは外からは見えない軋轢が生まれつつあった。いずれも、そんな設定だったかと。
 一方、本作は一味違う。ここに登場する家族は、一目で軋轢がわかる。すでに家庭はどうしようもないくらいに崩壊しているのだ。勘違い女、和合澄伽(佐藤江梨子)の存在が大きな原因だが、本作のおもしろさのひとつは彼女のその強烈なキャラクター設定にある。自己中心的な性格で、家族を振り回す姿は、『血と骨』で北野武が演じた金俊平と重なる。
 作中では、女優の素質がないと罵られる澄伽だが、澄伽を演じる佐藤江梨子の演技は間違いなくうまい。

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 ブラックな要素とコメディとの配分は実に絶妙。コメディとしての要は、待子役を演じる永作博美。この人、演技がうまかったんだね。
→何様!?
 妹役の佐津川愛美は、今後注目の新人。『海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』をきっかけに陰ながら応援しているが(古里を舞台にした映画であったため)、本作での活躍ぶりから女優としての実力を確信した。
 「家族の再生」と呼ぶには、あまりにも毒がありすぎるが、最後のバスのシーンでは、不思議な爽快感が得られる。リアリズムを追及しようと思えば、まだまだ脚本の改稿の余地があるが、リアリズムなんてなくても、これはこれでおもしろいのかもしれない。ところで他業界出身の監督というのは、なんて予想外な演出をするのだろう。映画ファンとしては、さらに人材交流が進み、似たような映画の再生産が抑制されることを願うばかりだ。


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21g
2007-12-22 Sat 11:29

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製作年度 2003年
上映時間 124分
監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
脚本 ギジェルモ・アリアガ
出演 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ、
    シャルロット・ゲンズブール、メリッサ・レオ、
    クレア・デュヴァル、ダニー・ヒューストン



 過去に3回レンタルしたが、3回とも鑑賞せずに返却した。
観ようと思えば観ることはできたのだが、かのイニャリトゥ監督の作品とあっては、気分に余裕があるときに、ぜひとも腰を据えて観たかったのだ。
↑映画館へ行けってなもんだがね。

 かつてイニャリトゥ監督の『アモーレス・ペロス』を観たときの衝撃は忘れられない。欠点が見当たらない完璧な作品に出会うなんてことは、そうそうない。映画も人生も知り尽くした一握りの監督によって、ときどき生み出されるのだ。きっと。


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『21g』もやはり傑作。
時系列がバラバラのカットが、合間合間に挿入される独特の構成。前半、意味が分からなかったカットが、次第に理解できてくるという新鮮な映像体験ができる。編集技術は相変わらず鮮やかだ。しかし、この複雑な構成の存在意義については、賛否が分かれるところではないか。映画『イージー・ライダー』の粗い構成は、ドラッグで現実感覚を失ったヒッピー達の姿を効果的に描写するのが狙いだったはずだ。一方『21g』では、この凝った構成とストーリーとの間に関連性が見当たらず、必要ない気がしないでもない。ここは、識者の意見を仰ぎたいところだ。

 交通事故をきっかけに、数奇な運命を辿る人々。彼らは人の命の重さを改めて噛みしめ、自らの人生を呪う。青臭いといえば、青臭いテーマだ。しかし、監督の熟達した演出により、きれい事では済まない現実的な問題として、テーマが深められている。残念ながら、『アモーレス・ペロス』ほどの衝撃を味わうことはできなかったが、彼がやはり一流の映画監督であることを確信した。


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ヴィタール
2007-12-14 Fri 03:26

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製作年度 2004年
上映時間 86分
監督・脚本 塚本晋也
出演 浅野忠信、柄本奈美、KIKI、岸部一徳、國村隼



塚本晋也監督は、相変わらず変わった映画を撮り続けている。
ちょっと前までは、こういうよく分からない演出がかっこいいなんて思ってたけど、最近の僕は、アート系の作品を意識的に避けている。アートという大義名分の下、わざと分かりにくい映画を作って、観客を煙に巻いているだけなんじゃないか、てな邪推をしてしまうのだ。

 アート系映画に対する僕の偏見を以下に列挙。


 ①主人公の悩みが特殊すぎて、共感しづらい。

 ②ストーリーがとにかく分かりにくい。

 ③映像が派手。フラッシュ多し。アップ多し。カット短し。

 ④クライマックスでなぜか主人公が叫ぶ。

 ⑤その後なぜか物語が解決。


 話がそれた。『ヴィタール』に話を戻します。

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 解剖学から着想を得たテーマは斬新だ。
主人公高木博史は、医学部にて解剖実習を行うことになるが、実習に割り振られた遺体は、偶然にも事故で死んだ元恋人であった。はじめは戸惑いを隠せなかった博史だったが、次第に恋人の解剖にのめりこんでいく。
 異常な形の愛情として、肉体の内部に迫っていく展開は、なにやら文学的だ。熱心に恋人の臓器を写生する博史の姿は、なんとも哀れで、かつ不気味。しかし欲を言えば、せっかくの非凡な着想をもう少し膨らませてもらいたかった。特に大きな発展もなく、しりすぼみに終わったのが残念。
 ところで本作もまた、先ほど列挙した僕の偏見に、若干あてはまっているようだ。観客をグッと惹きつけておくためには、一般的な現実感覚を忘れてはならない。


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プロフィール

kkaazz2000

Author:kkaazz2000
技術系。神奈川在住。

歴史から消えつつあるカルト映画たち。さもありなんという作品から、なぜこれがという作品まで。そんな不可思議な世界にはまりつつある今日この頃です。

 
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